先日大宮氷川神社に行ってきました。目的は摂社の門客人神社。
門客人神社
広い境内から拝殿向かって左の門を出ると、御岳神社とともに門客人神社はあります。こじんまりとしていますが、鉄板葺きの立派な社殿でした。
氷川神社に祀られる、素戔嗚命の妻、櫛名田比売クシナダヒメの父母です。
ですがこの門客人神社は元々「荒脛巾あらはばき」神社と呼ばれ、地主神だったのが変わったとのこと。
アラハバキとは?
偽書とされた「東日流外三群誌」の影響で遮光器土偶のイメージが定着しています。ゲームの敵キャラクターなどとしても登場しているよう。
「荒覇吐」
「荒吐」
「荒脛巾」
「阿良波々岐」
などの漢字が当てられています。
関東、東北で150ほどの神社で祭られていますが、記紀などに出てこない、謎の神さまです。
下半身の神様説
「脛巾(はばき)」の神や「足の神」という説。靴を奉納する神社も。
また下半身全体、と捉えることも。
長脛彦説
神武天皇に敗れた「長脛彦」が東北に逃げのび、アラハバキ神を祀るようになった説。
塞の神説
村々の境界線を守る、さいの神が転じたもの。
製鉄の神説
多賀城付近の荒脛巾神社には、はさみが多く奉納されます。この地域や氷川神社は製鉄業と深いかかわりが。
一つ目でイメージされており、それは製鉄をする人が片目を熱で痛めて片目で作業する事から。
アラビア説
南アラビアのヤマン地方から、インド・中国経由で伝わった説。
竜蛇神説
「ハバキ」の「ハハ」は古語で蛇の意味。「ハハキ」=「蛇木(竜木)」で、古代の祭りの中心だった。
伊勢神宮には「波波木(ははき)神」が内宮の東南=「辰巳」の方角にある。
竜蛇神信仰について
氷川神社の話に戻りますが、出雲の神々を祭る氷川神社は竜蛇神信仰と言えますし、もともと土着の信仰としても竜蛇信仰があったと考えられます。
見沼(御沼)と呼ばれる大きな沼が江戸時代に干拓されるまではありました。その水源を祀ったのが氷川神社の起源だと言われます。
以前は禁足地としていた、「蛇の池」が今は公開されています。境内左の林にくねくねした蛇のような小道が小川に沿って伸びていて、その終点が蛇の池。
しんと静まっていて、薄暗く、涼しく、他の場所とは違う雰囲気。水は緑ににごっていますが、鯉の姿が見えます。湧き出て流れる水も見えます。
実際に蛇も住んでいて、現れる事もあるそう!
この辺りの地域には、見沼に住む龍神の伝説、伝承が多く残されています。
さいたま市のマスコットもヌゥくん、という竜です。
蛇も、そこから派生したと言われる龍も水神として見られています。
地域に残る龍蛇神信仰と、謎の神さま、アラハバキ。ワクワクするようなつながりを感じます。もっと知りたい謎多き存在です!